むし歯治療

むし歯治療

むし歯とは

むし歯は、ミュータンス菌などのむし歯原因菌が出す酸によって、歯の表面が徐々に溶けていく病気です。
これにより、歯のエナメル質や象牙質が弱まり、やがて穴が開くことにつながります。
むし歯は重症化するまで自覚症状が少ないため、自分で気づきにくいのが特徴です。
そのため、知らないうちに症状が進行し、気づいたときには治療が複雑化することもあります。
ただし、歯に穴が開く前の段階で定期健診を受けることで、むし歯を早期に発見し、進行を食い止めることが可能です。

むし歯の進行状態と症状

むし歯は、その進行状態によって症状や治療法が大きく異なります。

C1:初期のむし歯

C1:初期のむし歯

むし歯が歯の表面であるエナメル質にとどまっている状態です。
痛みや不快感はほとんどなく、この段階では適切なケアで自然に治る場合もあります。

C2:象牙質まで進行したむし歯

C2:むし歯が歯の内部まで進行

むし歯がエナメル質の奥にある象牙質にまで達した状態です。
この段階では、冷たいものや甘いものを摂取した際に歯がしみることがあります。
治療ではむし歯部分を削り、詰め物(インレーやレジン)を施します。

C3:神経まで達したむし歯

C3:むし歯が神経まで進行

むし歯がさらに進行し、歯髄(神経部分)に到達した状態です。
炎症や膿が発生し、飲食時以外でもズキズキとした痛みが生じます。
この場合、感染した神経を除去する根管治療が必要です。

C4:歯質がほとんど失われた状態

C4:歯質が失われた状態

歯髄が壊死し、痛みを感じなくなった状態です。
歯がもろくなり、むし歯菌が歯根や血管に侵入するリスクがあります。
最悪の場合、全身疾患を引き起こす可能性もあるため、早急な対応が必要です。

むし歯治療の流れ

診察と診断

治療の最初のステップは、歯科医師による口腔内の診察です。
視診に加え、必要に応じてデジタルX線を用い、むし歯の進行状況を詳しく確認します。
デジタルX線は従来の方法よりも放射線量が少なく、精度の高い画像を提供します。

治療計画の立案

診断結果をもとに、歯科医師が最適な治療計画を立てます。
治療内容や使用する素材、費用、治療期間などについて患者様に詳しく説明し、相談を重ねながら計画を決定します。

治療の実施

むし歯の進行度に応じて、以下の治療を行います。

レジン充填

軽度のむし歯に対する治療法で、むし歯部分を削り、レジン(合成樹脂)で埋める処置です。
歯の色に近い素材を使うため自然な仕上がりとなります。

セラミックインレー

削った部分にセラミック製の詰め物を使用する治療法です。
見た目が自然で金属アレルギーの心配もありません。

根管治療

むし歯が神経まで進行している場合に必要な治療法です。
感染した神経を除去し、根管内を清掃・消毒した後に詰め物を行います。

かぶせもの

歯質の多くが失われた場合、かぶせもので歯を補強します。
金属、セラミック、レジンなど、素材はさまざまです。

治療後のメンテナンス

治療が完了しても、むし歯の再発を防ぐためには定期的なメンテナンスが欠かせません。
歯科医師によるクリーニングやフッ素塗布、セルフケアの指導を通じて、歯の健康を維持しましょう。

神経を守るむし歯治療

歯髄保存療法(MTA)

歯髄保存療法(MTA)とは

歯髄保存療法とは、感染部分だけを取り除き、健康な神経を可能な限り残す治療法です。
神経を全て除去する根管治療とは異なり、歯の寿命を延ばす効果が期待できます。
またMTAとは、「MTAセメント(プロルートMTA)」という歯科用の材料のことです。
1993年に米国で開発され、2007年に日本で販売が始まりました。
それ以来、多くの治療で使われ、高い評価を受けています。
主成分はケイ酸カルシウムで、以下のような特徴があります。

  • 人体に優しい(生体親和性)
  • 隙間をしっかり塞ぐ(封鎖性)
  • 歯を再生しやすくする(石灰化促進)
  • 象牙質を作る力がある(デンティンブリッジ形成)
  • 細胞を元気にする(細胞活性化)
  • 細菌を抑える(抗菌性)

これらの特徴から、MTAセメントは革新的な治療材料として注目されています。

歯髄保存療法のメリット

歯質が弱くならない

根管治療を行わないため、歯の余分な部分を削る必要がありません。
さらに、根管治療では強い薬剤を使用して歯の内部を処置しますが、その薬剤による影響で歯が脆くなる心配もありません。
この治療法では歯質の強度を保てるため、結果的に歯が壊れるリスクを軽減できます。

感覚を保てる

歯髄を保存することで、温度を感じる感覚が失われません。
神経を取り除くと、噛む力に対して鈍感になることがありますが、この治療ではそうした問題を防げます。
そのため、無駄に強い力が歯にかかることを防ぎ、歯への負担を軽減できます。

歯根の成長を助ける

歯髄を残すことで、成長途中の永久歯(幼若永久歯)の歯根が正常に成長します。
これにより、歯の寿命が長くなる可能性が高まります。

歯髄保存療法の注意点

歯髄保存療法にはメリットが多い一方で、適用できない場合もあります。
むし歯が進行し、歯の根元まで到達している場合は、歯髄を保存するのが難しくなります。そのため、早期発見が非常に重要です。
また、この治療は保険が適用されないため、治療費が高額になることがあります。
さらに、治療には丁寧さと時間が求められるため、治療期間が長くなる傾向にあります。
それでも、神経を残すことには大きな価値があります。
長期的に見れば、歯の健康を守るための費用対効果の高い選択肢と言えるでしょう。

当院がむし歯治療で大切にしていること

当院がむし歯治療で大切にしていること

当院がむし歯治療で大切にしていること

当院では、患者様一人ひとりの口腔内の健康状態を総合的に考えた治療を提供しています。単にむし歯部分を治療するだけでなく、お口全体を健康に保つための提案を行っています。治療前にはモニターを使用して現在の状態を患者様に共有し、治療内容を十分に理解していただけるよう努めています。

神経を守る治療

神経を守る治療

神経を抜くことで歯が割れやすくなったり、変色するリスクが高まるため、当院では可能な限り神経を残す治療を心がけています。
患者様の歯の寿命を延ばし、健康を長く維持できるようサポートします。